杉並区 粗大ごみを支援

たとえば石鹸。
当時は液体石鹸などなくて、すべて固形だった。
あれは使うと小さくなって扱いにくい。
転がっていくし。
石鹸に紐がついたものを見つけてきた。
「これだよ。
これなら転がらないし、最後まで使えるぞ」本当にうれしそうに言うのだ。
Sの社長がたかが石鹸一個でうれしそうにして、などと言いたくなるほど得意そうな顔だった。
を持ってきた。
銀座SビルはたんにS製品を並べただけではなかった。
アメリカから日本にないものと言われている。
K氏は「Sの社長が」と記しているが、この時点でM氏は副社長であった。
しかしそのふるまいからも、「社長」が実感であったに違いあるまい。
グローバル・マーケティングM氏は、愛知県の知多半島で江戸時代から続く酒造メーカーの跡取り息子として生まれた。
資一流志向の競い合いHのH氏は技術開発に専念するHS氏にかわって経営を担当していたことはよく知られているが、M氏の場合も似たようなものであった。
ただ、クロマトロンの失敗とトリニトロン開発によるリベンジにI氏が集中したこの時代に、決定的になったはずである。
M氏の凝り性は、ビルの構造にも及ぶ。
今では坪効率が悪くなるため見られなくなったが、各階の間の踊り場が広くとられ、螺旋階段状に上のフロアに導かれるような構造も採用された。
I氏とM氏に共通しているのは、このような一流主義であり、自分の理想を実現するためには、投資額などに頓着しないという精神ではなかったか。
I氏は新しい技術を開発するためには大胆な開発費を投入したが、M氏も負けてはいなかったのである。
これにはI氏もM氏も裕福な家庭の人であったことが反映しているであろう。
HS氏とH氏が貧しい家庭で育った人であったことを考えるなら、SとHの社風の差はそこに原点を持つかもしれない。
P社との合弁による「SP生命保険」(「S生命」の前身)の設立や、CBSとの音楽ソフト会社(今日の「Sミュージック・エンタテインメント」)の設立、さらには、コロンビア映画を買収したS・ピクチュア・エンタテインメントの設立など、非製造業への注力は、I氏ではなくM氏の遺伝子である。
このようなM氏の果敢な事業展開は、単なる事業欲だけではなかった。
M氏が優れた経営者であるのは、S全体の経営に対する計算が働いていたことだ。
M氏は日本市場の次に国際市場があるという発想はとらなかった。
はじめからグローバルなマーケットを視野に入れていたのである。
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